ナナ
夏の情痴港。ナナはいつものように、そのビーチにやって来ていた。
彼女は海が好きだった。冷たい海水が肌を滑り落ちる、あの独特の感覚がたまらなく心地いい。
その日、海辺の小さな動きがあなたの視線を奪った。――ナナだ。
一年ほど前、魔魂の城の長い回廊で一度だけ見かけた少女。もう二度と会うことはないと思っていたのに、水面からゆっくりと姿を現した彼女は、あのときと同じように鮮烈だった。
その視線に、ナナはすぐさま気づいた。
彼女は振り返り、鋭い瞳であなたを見つめる。
「ちょっと。そんなふうに見ないでって、言ったはずだけど……」
あなたは呆然と立ち尽くしていた。ナナが歩き出し、すれ違いざまにほのかな香りを残していったことすら気づかないほどに。
我に返ったあなたは、なぜだか自分でもわからないまま、吸い寄せられるように彼女の後を追っていた。
「バタン!」と、更衣室のドアがあなたの鼻先で容赦なく閉められる。
どれほど時間が経ったのかわからない。すべてが幻だったのではないかと思い始めた頃――彼女はとっくに別の出口から出て行ったのだろうと、自嘲気味に背を向けようとしたその時、静寂の向こうから声がした。
気怠げで、どこか冷ややかな、あの声が。
「入って」
深く息を吸い込み、ドアを押し開ける。
更衣室の中は、海水の湿気と彼女の体から立ち上る、ほんのり甘いイチゴの香りが混ざり合った温かい空気で満ちていた。
ナナは鏡の前に裸足で立ち、背を向けたまま、白いバスタオルでじれったいほどゆっくりと髪を拭いていた。
あなたが入ってくると、彼女はふと手を止め、鏡越しに冷徹な視線を投げかけてきた。
「あなた、妙に私を意識してるわね……私のこと、好きなの?」
更衣室の空気が、その一瞬で凍りついた。
まさかこれほどストレートに核心を突かれるとは思わず、あなたは言葉を失う。
ナナはゆっくりと振り返り、バスタオルを無造作に肩へとかけた。濡れた水着はまだ着たままで、生まれつきの瑞々しい薄ピンク色の肌にぴったりと張り付き、豊潤で肉感的なボディラインをこれでもかと強調している。鎖骨のくぼみから、海水がポタポタと滴り落ちていく。
「去年の6月3日、午後2時。魔魂の城の回廊で、あなたは私の尻尾を丸1分間も見つめていた」
ナナは少し顎を上げ、腕を組んで勝ち誇ったようにあなたを見つめながら、正確な日時をスラスラと口にした。
「10月15日、依頼の引き継ぎの時。私の手元を見て動揺したせいで、あなたは私の乗馬鞭に水をころした。そしてさっきのビーチでも、あなたは3分14秒もの間、私を凝視していたわ」
「図星でしょ?」
ナナはふっと鼻で笑った。
あなたは深く息を吸い込んだ。その高飛車で驕り高ぶった態度を見つめながら、いっそ開き直って一歩踏み出し、彼女の瞳を真っ向から見据えた。
「そうだよ、君が好きだ。じゃあ君は? どうして僕の行動を、そんなに細かく全部覚えているんだ?」
「それは……!」
ナナは、あなたが堂々と認めるとは思ってもみず、逆に問い詰められるとは夢にも思っていなかったようだ。完璧だったはずの美しい顔に、めったに見せない激しい動揺が走る。
「べ、別に深い意味なんてないわよ! ただ記憶力がいいだけ! たままよ!」ナナは頑なに言い張る。しかし、その表情はすべてを物語っていた。
必死に否定すればするほど、彼女の淡いピンク色の肌が、下腹部から鎖骨、首筋へと、みるみるうちに赤みを帯びていく。更衣室の薄暗い照明の下でもはっきりとわかるその変化は、嘘をついたことへの激しい羞恥心による、抗えない生理現象だった。
肌だけでなく、腰の後ろでいつも傲慢に揺れていたピンク色の竜の尻尾が、今は心の動揺を隠すかのように、本能的に自身の体にぴったりと巻き付き、細かく震えている。
彼女の足は、もう自分の体を支えきれないほどにガクガクと震えていた。
あなたはその隙に、ナナの体を強引に抱き寄せた。
抱きしめられた瞬間、彼女の全身がびくっと強張ったが、すぐに抗う力を失ってフニャフニャと柔らかくなった。肉感的なその体は、今は火照るように熱い。さっきまでビーチで高飛車に振る舞っていたナナは、今や溶けたキャンディのように、あなたの胸にぴったりと身を預けている。
「離して……正気なの……?」彼女は歯を食いしばり、声を震わせながら、ゴールドの竜の瞳に涙を溜めて、それでもまだあなたをキッと睨みつけていた。
あなたは彼女をさらに強く抱き締め、指先で腰の後ろにある最も敏感な「逆鱗」にわざと触れた。
「うぅっ……!」
ナナの体が激しく跳ね上がる。完全に抵抗する力を失った彼女は、ただ無力にあなたの首に腕を回すことしかできなかった。
あなたは彼女をきつく抱擁し、お互いの腰を強く押し当てた。太ももを伝う熱い雫の感触がはっきりと伝わってくる。彼女は今、極度の興奮状態にあり、弾力のある柔らかな密処が本能的に開き、あなたをすべて迎え入れようと渇望していた。
彼女の体が無意識にうごめくのに合わせ、あなたが腰を沈めると、熱く滑らかな肉壁が、吸い付くような強い締め付けを伴って、一瞬にしてあなたを深く包み込んだ。
二人の躯がぶつかり合うたび、肌が擦れ合う濡れた音と、抑えきれない吐息が漏れる。
「もっと……もっと速く……」
彼女は涙声で、あなたの耳元でせがんだ。
あなたの身体も限界まで高まり、引き絞られるように熱くなっていく。そして最後、深く激しい何度かの突き上げの後、彼女は大きな震えとともに絶頂を迎え、完全に力を抜いてあなたの体に倒れ込んだ。
二人の体は固く重なり合い、耳元には、遠くから聞こえる波が浜辺を打つ音だけが静かに響いていた。