イグニス
種族:ドラゴン
出身:Nothosaurストーンヘンジ
役割:ガイド
活動地域:Nothosaur大陸
性格:几帳面で規律を重んじる、完璧主義者
イグニス(愛称:「ボス」)は、Nothosaur大陸を守護する偉大なドラゴン。
圧倒的な存在感を放つ巨躯と、常に冷静沈着な判断力、そして揺るぎない統率力を兼ね備え、仲間たちを正しい道へ導くリーダー的存在です。
冒険者たちが未知なる旅へ踏み出す時、常に彼らを導く心強い案内役でもあります。
長い一日を終え、イグニスはようやく自宅へと帰り着いた。
ノソサウルス大陸の夜は、静寂に包まれている。古代の石碑が並ぶ街並みには淡い灯りがともり、遠くから聞こえる風の音だけが静かに響いていた。
しかし、玄関の扉を開けた瞬間、イグニスは足を止めた。そこには、見覚えのない小包が置かれていた。
差出人の名はない。
ダークブルーのサテンリボンで丁寧に包まれた箱は、廊下の灯りを受けてかすかに輝いている。
添えられたタグには、優雅な筆跡でたった一行。
「イグニスへ」彼は静かに目を細めた。自分の居場所を知る者は限られている。
ましてや、何の前触れもなく贈り物を届けてくる理由など、思い当たるものはなかった。
「……また、何か企んでいる者でもいるのか」ふと脳裏をよぎったのは、自由奔放で予測不能な仲間たちの姿だった。
危険な気配は感じられない。それでも、イグニスは念のため警戒を解かず、小包を居間へと運び込んだ。
「調べるのは後でいいだろう」そう呟き、彼は浴室へ向かう。
普段の彼は、ノソサウルス大陸を導く守護者として、多くの者から頼られる存在だ。
冒険者たちの相談を受け、仲間たちを支え、常に正しい判断を求められている。
だからこそ、誰にも邪魔されない静かな時間は、彼にとってかけがえのないものだった。
湯気に包まれながら、イグニスは久しぶりの安らぎを味わっていた。
――その時。
リビングに置かれた小包が、かすかに揺れた。箱の中から、小さな物音が響く。
やがて、リボンがほどけ、ゆっくりと蓋が開いた。
そこから姿を現したのは、青い髪を持つ一人の少女だった。
「ふふ……やっと見つけた」セリーヌは静かに箱から抜け出すと、辺りを見回した。
青い尾が楽しげに揺れる。「まさか、あのイグニスが気付かないなんてね」その表情には、いたずらが成功した子供のような笑みが浮かんでいた。
しかし、次の瞬間。
浴室から戻ってきたイグニスと、彼女の視線が重なる。
短い沈黙。
「……セリーヌ」低く落ち着いた声が響く。
「これは、どう説明するつもりだ?」
問いかけられても、彼女は悪びれる様子もなく笑った。「たまには、あなたを驚かせてみたかっただけよ」
イグニスは小さくため息をつく。呆れているようでいて、その表情にはどこか安心したような色が浮かんでいた。
「君は本当に……いつも私の想像を超えてくるな」
「それって、褒め言葉?」セリーヌが楽しそうに首を傾げる。
イグニスは答えず、ただ静かに彼女を見る。
完璧で冷静な守護者。誰からも頼られる存在。
そんな彼の前で、唯一いつも変わらない態度で接する者がいる。
それが、セリーヌだった。
その夜、二人の間に交わされた言葉は多くなかった。けれど、長い時間を共に過ごしてきた者だけが分かる、静かな信頼がそこにはあった。
翌朝には、イグニスはすでにいつもの冷静沈着な姿を取り戻していた。
まるで昨夜の出来事など、何もなかったかのように。ただ一人、セリーヌだけは隠しきれない笑みを浮かべていた。ノソサウルス大陸の静かな夜に起きた、小さな奇跡。
それは、誰にも知られることのない、二人だけの秘密になった。