【シフゾウの汁】 ローション ムスク香り

【シフゾウの汁】ムスク香り付き

不法侵入するつもりなんて、なかった。
けれど今――彼は、あなたのすぐ背後にいる。
彼の吐息が、首筋をかすめるほど近くに感じられる。そのぬくもりが、はっきりと肌に伝わってくる。鼓動もまた、規則正しく、穏やかに刻まれている。その静かな震えが、あなたの背に、胸に、確かに伝わってくるほどの距離。
シフゾウは、最初は何も言わない。ただ背筋をまっすぐに伸ばし、黙ってあなたの後ろに立っている。
けれど――すぐに、それを感じる。
腰に……硬く、確かなものが押しつけられる感覚。

そして、あの香りがあなたを包み込む。
ブラックムスク。木と毛皮、土のような重さ。熱を含んだ獣の匂い。
そこには、言葉にできない“何か”が、確かに混じっている。
やがて、あなたはそれをはっきりと感じ取る。
背中に、確かに触れる感覚。
ストラップが、静かに、だが明確に引かれていく。
「もう……君の体には、俺の匂いが染みついてるだろう」低く、なめらかで、それでいて危うさを孕んだ声。まるで、ベルベットに包まれた刃のように。
「――しばらく、ここにいた方がいい」
ムスクの香りが、さらに濃く、ゆっくりと広がっていく。
肌を覆い、熱と摩擦の隙間をすり抜け、触れられていない場所など、もはや存在しないかのように。あなたの体は、滑らかに、そして貪欲に動きはじめる。
まるで、遠い記憶の奥底に刻まれたリズムを呼び覚ますように。
動くたびに、彼のムスクはより強くまとわりつき、滑るたびに、より深く、より確かに染み込んでいく。

あなたは――もう、捕らえられている。
完全に。